死亡届を提出するだけでは止まりません。
「死亡届の提出」=「口座の凍結」は間違いです。
「銀行が死亡の事実を知る」=「口座の凍結」が正解です。
火葬許可を受けるためには、死亡後7日以内に所定の役所へ「死亡届」を提出しなければいけませんが、役所と銀行はオンラインで繋がっている訳ではありませんし、受理した後に役所が銀行に通達することもありません。
ですから、死亡届を役所に提出しただけで、自動的に銀行口座が凍結することはありません。ほぼ都市伝説です。
ではなぜ、こういった噂が出るのかというと、昨今では各都市に葬儀式場が充実し、葬儀は葬儀式場で行うことが普通となりましたが、その昔、葬儀は自宅で行うことが当たり前でした。
自宅で葬儀を行う場合、まず忌中紙を外の扉に貼り、訃報を町内会に配り、場合によっては新聞に訃報を載せ、町内会の方々に手伝いに来てもらい、家の前には葬儀看板を立て、家の周りを黒白の幕で覆い、駅からの道案内看板を立てたりとかなり大がかりなものでした。
また、「家族葬」という考え方は昔は一般的ではなかったので、自宅に近所の方々も沢山参列されます。
という訳で、近所の銀行や信用金庫に口座を持っている場合、「亡くなった」という事実が銀行に伝わりやすかったという側面があります。
加えて、訃報を配った人の中に銀行関係者がいたり、銀行に勤める親族が葬儀のため忌引きで休む際の申請で凍結してしまったというケースも聞きます。
他では、故人の口座から家族の方が必要経費を引き出そうとして、職員に「亡くなりました」と言ってしまうと即座に凍結となります。これは決まりなのでどうしようもありません。
そうなってしまうと、その時点で「相続財産」となってしまうので、正式な手続きを踏まなければ解約や名義変更はできません。
ただし、仮に凍結となり、まだ遺産分割協議が終わってない状態でも、葬儀代金程度の金額であれば引き出しが可能ということです。とはいえ、相続人全員の同意が必要であったり、身分確認や、必要書類の提出など簡単ではないのは確かです。
昨今では、一般には一切知らせない「家族葬」が増え、安置も自宅ではなく、病院から直接式場に安置するという方も増えております。防犯上の観点から「忌中紙」もあまり見かけなくなりました(忌中泥棒を防ぐため)。
そういったケースでは、銀行に言わない限り凍結することはまずありません。